こんにちは。在宅勤務で完全dryになっているdrywettyです!今回は私が学部生の頃から論文大量定期チェックアプリとして利用しているfeedlyについて紹介したいと思ったのですが、まずはなぜ研究者が大量の論文をチェックすることが大事なのかを紹介するだけで結構な文字数になったので記事にしました。
なぜ大量の論文をチェックし続ける必要があるのか?
さて、まずは研究者がなぜ毎日大量の論文をチェックし続けないといけないのかについて紹介します。みなさん、テレビによく出演している脳科学者の東大教授・池谷裕二先生をご存知でしょうか?池谷先生に関する紹介文で、「毎朝100本の論文を読むのが日課」とあり、こちらの記事でも毎日100本以上の論文をチェックされているそうです。私も毎日大量の論文チェックを学部の頃から習慣として続けていたので、池谷先生の紹介文を見て、「研究者としてこの習慣は正しかったんだ!」と嬉しくなりました。実際にこの習慣が研究者としてなぜ大事か考えてまとめてみましたので紹介します。
私としては以下の点で研究者は論文を常に大量にチェックしておくべきであると考えています。
- 世界の研究のトレンドを知る
- 自分の研究の立ち位置を知る
- 自分の研究や共同研究のアイデアにする
- おまけ:英語の勉強になる
それぞれについて詳しく紹介していきます。
世界の研究のトレンドを知る
どんな研究が世の中で行われていて、どんな研究すれば世の中の役に立つか、インパクトを与えられるかを考えるために、まずは世界の研究のトレンドを知ることが重要となります。「世間の研究の流れなんて知らなくても俺は自分の好きな研究をやるだけだ!」と思う方もいるかもしれませんが、自分の好きな研究を効率よく進めるためにも研究トレンドを知ることは非常に重要です。ふとした新しい論文が自分の実験のアイデアにつながることもあります。個人的に初めはCNS (Cell, Nature, Science)全てと自分の分野の姉妹誌、自分の分野のトップジャーナルはチェックした方が良いと思います。これで自分の研究分野のトレンドが大体つかめますので、その分野の課題に対して自分独自の視点・アイデアで取り組むことができます。また、高インパクトファクタージャーナルしか認めない研究室や大学院ではどういった研究ならそのジャーナルに載るかを知っておかなければなりません。
自分の研究の立ち位置を知る
前項の「トレンドを知る」と近いですが、自分の進めている研究がどの立ち位置になるのか、どのジャーナルに投稿できそうか知るためにも論文をチェックし続ける必要があります。初めはトップジャーナルを目指して研究を始めたとしても、その研究で必ず結果が出るとは限りません。特に大学院では時間に限りがありますので、常に論文をチェックしておいて、自分のデータを今まとめて投稿したらどのジャーナルだったら載りそうかを意識しておく必要があります。さらに、自分の論文のアイデアが研究を始めた当時は新しかったとしても、投稿する頃には同じようなアイデアの論文が出てしまっている可能性があります。同じアイデアの論文が出てしまった研究は、新規性が薄れてしまいますのでなるべく早くその研究をまとめて投稿する必要があります。自分のアイデアが世の中に出ていないかパトロールする上でも論文はチェックし続けましょう。
自分の研究や共同研究のアイデアにする
研究を続けていく上で現在よりもっと良い進め方があるか、新しい考え方があるか知るためにも論文チェックは役立ちます。例えばある遺伝子の機能に注目して研究をしていて、自分の研究室は古くから使われている細胞系にこだわりを持っていたとします。新しい論文でその細胞系を使った三次元培養法が紹介されて、その遺伝子の機能が三次元培養で大きく変わっていることが報告されていたら、当然自分もその培養法を試さないわけにはいかないでしょうう。自分の場合は博士課程では特殊なサンプルを使っていたため、似たサンプルを使った研究を全てチェックして自分の考察を支持する報告があるか、自分の研究にも生かせる実験系があるかに気を配って、実際に取り入れるようにしていました。
また、共同研究の種を探すためにも論文チェックは欠かせません。特にオミックスや結晶構造などの特別な機器が必要なデータは世界や日本でどの研究室が強いか知ることができます。また、オルガノイド系、臨床サンプルなど特殊なサンプルを使った報告が出たときに、すぐにその研究室に問い合わせてサンプルを譲ってもらったり、共同研究を進められる可能性がありまあす。論文チェックをしていないと、自分の使える手段が少なくなってしまいます。
おまけ:英語の勉強になる
おまけになりますが、自分としては論文チェック自体が英語力を維持するための習慣にもなっていると感じます。「英語の論文を読むのが大変!」という人も、常に論文に触れつつけていくことで筋トレのように叙々にサラサラと読めるようになります。そもそも論文は書き方がかなり決まっていますので、特に自分の分野の論文を10報程度読んでおけば他の論文も無理なく読めるようになるのではと思います。
最後に
研究者が論文を読み続ける理由について言語化させていただきました。次回は論文チェックを効率的にできるfeedlyを紹介したいと思います。それでは皆さんしばらくは大変な状況だとは思いますが、少しでも快適な研究ライフを!