創薬を目指している身としてCOVID-19について調べておきたいと思い自分用も兼ねてまとめていくことにしました。定期的に調べて更新していきます。
2020/3/16 プロテオーム追加
2020/3/20 Viral transcriptome追加
2020/4/1 Viral protein and host protein interactome追加
Viral genome
COVID-19の全長RNAゲノム解析
Genomic characterisation and epidemiology of 2019 novel coronavirus: implications for virus origins and receptor binding
患者から単離したウイルスRNAからSanger sequencing、Illumina、Oxford nanopore sequencingを行なって全長RNAを解析した論文。COVID-19は約30kbで少なくとも12 coding regionからなる。
hCoV-19のゲノム疫学 (GISAID)
Genomic epidemiology of hCoV-19
世界中のCOVID-19のシーケンスから系統樹と予測感染経路の可視化。
Viral transcriptome
SARS-CoV-2トランスクリプトームの構造
The architecture of SARS-CoV-2 transcriptome (Kim D., et al., BioRxiv, 2020)
COVID-19が感染したVero細胞のtotal RNAに対してMGI DNA nanoball sequencingとNanopore direct RNA sequencing (DRS)を行った文献。DRSの結果では65.4%のリードがCOVID-19にマッピングされて宿主細胞RNAの割合はかなり抑えられている。 読まれたリードからgRNAにnon-canonical junctionが多く見られ、COVID-19 gRNAのヘテロな構造 (sub-genomic RNA)が伺える。Nanopore DRSのデータからRNA修飾も検出できるため、解析したところ41サイトで修飾が見られ、AAGAAモチーフがリッチに含まれている。
Human genome/transcriptome
ヒトACE2の変異および遺伝子発現の比較ゲノム解析
Comparative genetic analysis of the novel coronavirus (2019-nCoV/SARS-CoV-2) receptor ACE2 in different populations
COVID-19の感染に関わるとされるACE2の発現やgenotypeによる発現の違いをpublic dataを使って解析した論文。East AsianはACE2の高発現に関わるQTL variantの頻度が高い。
COVID-19感染患者の肺免疫細胞のシングルセルRNAseq
The landscape of lung bronchoalveolar immune cells in COVID-19 revealed by single-cell RNA sequencing (MedRxiv)
COVID-19感染患者(軽症寛解3例と重症3例)の肺胞洗浄液から免疫細胞のシングルセルTCR/RNAseqを行った論文。コントロールはpublicの健常人肺のシングルセルデータを使用。重症ではFCN1+マクロファージが増加。軽症例ではtissue resident effector CD8+ T細胞が増加。
Proteomics
COVID-19感染細胞プロテオーム解析による治療標的の提案
SARS-CoV-2 infected host cell proteomics reveal potential therapy targets (ResearchSquare)
COVID-19を感染させたCACO2細胞株(小腸様細胞株)を用いてウイルス量と相関して増えていくタンパク質をLC-MS/MSによるプロテオーム解析で探索した論文。翻訳阻害剤やリバビリン、エメチンがウイルスの抑制に効果があったと報告している。使っている細胞株が肺と関係ない点が気になる。
AP-MSによるCOVID-19タンパク質とヒトタンパク質のインタラクトーム解析
A SARS-CoV-2-Human Protein-Protein Interaction Map Reveals Drug Targets and Potential Drug-Repurposing (BioRxiv)
HEK293細胞内にタグ付きCOVID19由来タンパク質を発現させてaffinity purificationして回収してきたサンプルをLC-MS/MSで測定し、同定されたヒトタンパク質とウイルスタンパク質とのPPIネットワーク解析を行って、ウイルスタンパク質の機能を阻害しうる薬剤を提案している論文。ウイルスタンパク質とヒトタンパク質の結合=細胞内での機能に関わるという仮説に論理の飛躍がある気がするが果たして…。