消費者向け腸内細菌叢解析の比較

こんにちは!研究活動再開に伴いブログが止まっていたdrywettyです!今回は個人的興味で調べた消費者向け腸内細菌叢解析サービスを比較・紹介したいと思います。(主観も入った比較なのであるサービスを薦めるものではありません。他にこんなサービスあるよ!という情報募集しています。)

腸内細菌叢解析って?

はじめに腸内細菌叢解析について簡単に紹介します。人の腸内には1000種類以上、100兆個にもおよぶ腸内細菌が存在していて、「第3の臓器」とも言われるくらい私たちの健康に関与していることがわかっています(参考:明治ヨーグルトライブラリー)。特に近年NGS等の解析技術の進歩によりその種類や存在量比が網羅的に解析できるようになってきて、自己免疫疾患や癌の進展への関与も毎年主要なジャーナルで報告されています。そこで、私も自分の腸内細菌を調べられないかと思い、消費者向け腸内細菌叢解析について調べてみることにしました。腸内細菌の解析方法は主に糞便から採取した菌を解析することでできますが、採取方法や解析方法によって測定される腸内細菌が異なることが知られています。そのため、現在利用可能なサービスがどんなサンプルでどんな解析方法をしているのか比較してみました。

腸内細菌解析サービス比較表

基本的にはこの表を見てもらえればサービスを比較できます。各サービスについては、この後調査した私の感想とともに紹介していきます。

商品・サービス名 マイキンソー キンログ ユーグレナ・マイヘルス腸内フローラバランスチェック 腸活チェック
会社 Cykinso ウンログ ユーグレナ ヘルスケアシステムズ
会社設立 2014 2013 2005 2009
価格(税込) 19800円 19800円 21780円 3025円
納品物 Webレポート(Proのの場合はカルテやカウセンリングもあり) Webレポート Webレポート Webレポート
レポート内容 腸のタイプ、菌の多様性、主要な最近の割合、腸内の菌構成、腸内環境の推移、太りやすさ 菌種(Species)レベルの組成比率、バランスの良し悪し、多様性、太りやすさ、バランス調整菌TOP5、バランスかく乱菌TOP5、アンケートによる食事バランス、腸内改善アドバイス、みんなの統計 腸内細菌の多様性と割合、あなたの腸内細菌タイプ、太りやすさと主要な細菌の割合、おなかの悩みとアドバイス インドキシル硫酸量から推定したインドール産生菌量
検体採取法 糞便 糞便 糞便 尿
解析手法 16S rRNAseq 16S rRNAseq 16S rRNAseq (サイキンソーに委託) インドキシル硫酸測定
医療連携 607件の医療機関(2020/6/20現在) 情報なし 情報なし 約400医療機関(2020/6/20現在)
共同研究先 理化学研究所、大阪大学微生物病研究所 情報なし 情報なし 情報なし
販売 Amazon, 医療機関 ウンログストア ユーグレナマイヘルス Amazon, 医療機関
その他   将来的にポンポンコードに移行か。    

各サービスの紹介

マイキンソー

マイキンソーサイキンソー株式会社が提供する腸内細菌叢検査サービスで、多数の医療機関と連携していることが特徴です。理研認定ベンチャーとしても認定され、理研・大阪大学との共同研究も行っていることや、情報セキュリティの国際規格の承認も取得されていることから、腸内細菌叢検査サービスを普及させることに本気度を感じました。

 

 

キンログ

キンログはうんち記録アプリで有名なウンログが提供している腸内細菌叢検査サービスです。ウンログ自体は便の色や形を毎日記録することで自分の健康状態を把握できるアプリですが、腸内細菌叢解析にも手を伸ばしてきたようです。ウンログ自体は医大との共同研究プロジェクトも進めているようですが、キンログについては外部機関との連携は調べた限りでは不明でした。ウンログとの連携などできるようになるとおもしろそうですね。

また、まだ発売には至っていないようですが、PonPon CODEという腸内細菌見える化プロジェクトがウンログ登録ユーザー向けのトライアルを行なっているようで、もしかしたらキンログも将来的にPonPon CODEの方へ統合されるかもしれません。

 

ユーグレナ・マイヘルス腸内フローラバランスチェック

ミドリムシベンチャーで有名なユーグレナも腸内細菌叢検査サービスを提供していました。遺伝子解析サービスも行っており、腸内細菌と自分自身の遺伝子解析と組み合わせた結果からアドバイスなどをしてもらえる場合、他の会社と差別化された価値がありそうです。ただウェブページはまだそこまで情報が多くなく、遺伝子解析結果との連携などには触れられていませんでした。また、腸内細菌叢の検査自体はサイキンソーに受託しているようで、結果にどういう違いがあるのか気になるところです。(下記リンクは遺伝子解析検査のキットです。ご注意ください。)

 

 

腸活チェック

最後はヘルスケアシステムズが提供している腸活チェックです。こちらは腸内細菌叢を解析するというより、尿中のインドキシル硫酸を測定して間接的に腸内の状態の良し悪しを判断するサービスのようでした。私が全然インドキシル硫酸に詳しくないため、なぜ間接的に判断できるのか調べたところ、2015年のBloodで移植片対宿主病(GVHD)の腸内炎症を予測にインドキシル硫酸の測定が有用という文献が見つかりました。腸内炎症の初期にインドキシル硫酸が低下がマーカーとして使えそうとのことです。ざっくりとした腸内状況のチェックには使えるのかもしれませんが、腸内細菌で太りやすい菌が多いとかは判断できなさそうです。

 

 

最後に

個人的にちょっと試してみようかなと思えたのはマイキンソーでした。理研や医療機関との連携を精力的に行っていてデータ解析の経験も豊富そうです。ただ、遺伝子解析との連携や、ウンログとの連携など他のサービスもまだまだ差別化で伸びてきそうな印象です。どこかのサービスを試してまたブログで紹介しようと思います。また、新しいサービスなどありましたら皆さん教えてください!それでは、皆さん楽しい解析ライフを!

Thumbnail of comparison of microbiota tests
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